地面を見れば、足元に色付いた葉が積み重なり、
ふと見上げれば青い空に鮮やかな木々が映り込む。
大好きな季節、秋がやってきた。
小道を歩けば、ピンクや白にコスモスが咲き乱れている。
この花を見ると、わが子が産まれた日を思い出す。
昨年の今頃だった。朝日が登ったころ、あの泣き声が響き渡った。
あれから1年。こどもは無事に1歳になり、私も母親1歳になった。
私が中心だと思ってた世界は、この1年でこどもになった。
ものの価値観、他人のこどもに対しての感情、
夫との意見の違いと擦り合わせ、親同士、
楽器の続け方、やりたいこと…
こどもができた事で、自分の中の色んなものが変わっていく。
こどもがいるということは、いる、というだけではなかった。
もしこの子がいなかったら、今の私は存在しないと思う。
自分一人では、きっとこんなふうにならなかったとだろう。
ひとりじゃ思いつかない、夢や希望。
色んな思いや感情を持たせてくれるわが子には、
本当に「産まれてきてくれてありがとう」の言葉以外に無いのだ。
そんな私も34歳になった。
小さい時に「20年後の私へ」というような、タイムマシンな手紙を書いたりなんて、どこの皆もあると思う。
私は何を書いたかさっぱり覚えていない。保育園の時の将来の夢は、もっぱら「セーラームーン」。ハードルの高すぎる夢だ。
今大人になってこどもがいて、そして楽器を演奏している。
サックスという楽器で『全国ツアー』と銘を打って各地をまわり、たくさんの温かいファンの方に囲まれて、大好きな人たちと大好きな地元で音楽と感謝を届けてこれるなんて、そんな人生は想像していなかった。
明確な夢をいつも決めることができない。そういうのは苦手だ。
立派な人間になんて一生なり得ない…ずっと思ってる。
生きることなんて恐怖と後悔と罪だらけ、早く死んでしまいたいと思ったことなんて何度もある。
未だに自分はクソだと責めつづけるけれど、「生きててよかった」と感じることが、まわりのたくさん温かさのおかげで増えてきた。色んな意味において感謝しかない。
私が世界に還元できることなんて塵みたいなものだけど、人の心に少しでも何かを灯せるように生きていきたい。
34歳もよろしくお願いします。